ある殺人事件
青木 男性
白石 男性
難波 男性
上野 男性
鈴木 女性
深田 女性
黒木 女性
ぐり子(本名忘れた) 女性
茂野 女性
【登場する人間は以上9名のみ】。
【人間以外の生物は事件に関係しない】。
絶海の孤島の館を訪れた9人。
【館に入った時点で9人は全員生存している】。
そしてその後【誰も館の外に生きて出ることは無かった】。
館には9つの部屋と食堂があった。
またそれらとは別に管理人室という部屋もあった。
管理人室には9つの部屋の鍵と食堂の鍵、それとマスターキーが保管されていた。
【マスターキーは館のあらゆる扉を開錠、施錠できる】。
彼らはそれぞれの部屋を決めて【9人それぞれがそれぞれの部屋の扉の鍵を受け取った】。
【鍵の複製は無い】ので無くさないように【9人はそれぞれ自分の部屋の鍵を常に持ち歩いていた】。
その後彼らは思い思いに館でくつろいでいたが、思いがけない事件が起こった。
青木くんと難波くんがロビーで話していると、どこか不安げな様子で鈴木さんが2Fから降りてきた。
彼女曰く、黒木さんが部屋から出て来ないらしい。
いくら部屋の扉をノックしてもなんの反応もないとのことだ。
それを聞いた青木くんは近くにいた難波くんと鈴木さんと共に2Fの黒木さんの部屋へと向かった。
黒木さんの部屋の前に着くと青木くんはドアをノックし黒木さんに声をかけた。
しかし反応は返ってこない。
青木くんが扉を開けようとしたが【黒木さんの部屋の扉は施錠されていた】ので開かない。
青木くんはマスターキーの存在を思い出した。
青木くんは鈴木さんにマスターキーを取りに行かせた。
マスターキーを手に鈴木さんが帰ってくると、彼女はすぐに開錠し扉を開いた。
そして3人の目の前に広がったのは信じられない光景だった。
黒木さんの部屋の中で黒木さんが血塗れで倒れていた。
黒木さんに関わらず【事件に登場する死体は全て明らかに死んでいるとわかる状態である】ことを留意して頂きたい。
【死んでいる人間を生きていると勘違いすることは有り得ない】。
【青木くん、難波くん、鈴木さんが扉を開き、黒木さんを視認した時点で彼女は既に死んでいて、彼らは黒木さんが死んでいると分かった】。
黒木さんの部屋には窓があったが【黒木さんの部屋の窓は施錠されていた】。
鈴木さんが黒木さんの持ち物を物色すると黒木さんの部屋の鍵が懐から見つかった。
つまり【黒木さんの部屋の扉の鍵は、黒木さんの部屋の中にあった】のだ。
【この部屋は鈴木さんがマスターキーで開錠するまで密室であった】ということだ。
となると犯人はどうやって密室を構築したのだろうか。
マスターキーを使用したのだろうか。
マスターキーを取りに行くには管理人室に行く必要がある。
しかし青木くんと難波くんがずっとロビーにいたのだ。
【青木くんと難波くんに目撃されずに管理人室に入ることは不可能だった】。
そして【誰も管理人室に入る人間を目撃していない】。
まさか自殺か?
事実【黒木さんはナイフを握っていた】。
しかし黒木さんは見るからに他殺されている。
【黒木さんは他殺】でナイフは自殺に見せ掛けるための偽装工作と見て良いだろう。
青木くんは難波くんにみんなを連れてくるように頼み、黒木さんが死んだことを知らせた。
【この時、9人全員が黒木さんの部屋にいた】。
その後彼らは現場を保存するため黒木さんの部屋の扉と窓を外から釘と板で封印した。【この先誰も黒木さんの部屋を出入りすることは出来ない】。
これを皮切りにしてさらに事件が起こった。
黒木さんの部屋を封印してから数十分後、青木くんの部屋の扉が激しく叩かれた。
青木くんが扉を開けると、難波くんが慌てた様子でまくし立てた。
彼いわく、食堂で死体を発見したというのだ。
青木くんは難波くんに引っ張られるように食堂に向かった。
【食堂の扉には窓があり、外から中の様子が伺える】。
扉の向こうでは白石くん、深田さん、ぐり子さんが血塗れで倒れていた。
青木くんは扉を開けようとしたが【この時点で食堂の扉は施錠されていた】。
青木くんが管理人室にマスターキーを取りに行き帰ってくると難波くんの他にも上野くん、鈴木さんが騒ぎを聞きつけたのか集まってきていた。
青木くんが扉を開錠し部屋の中に入り、4人で現場を調べた。
机の上に食堂の鍵が置いてあった。
【食堂の扉の鍵は食堂の中にあった】のだ。さらに【食堂の窓は施錠されていた】。
つまり【青木くんが開錠するまで食堂は密室だった】のである。
現場を調べているうちに彼らはあることに気が付いた。
いくら経っても茂野さんが姿を見せないのだ。
それどころか青木くん、難波くん、上野くん、鈴木さんは館に入って解散してから茂野さんの姿を一度も見ていないのだ。
彼らは茂野さんの部屋に向かうと扉を開けようとしたが【茂野さんの部屋の扉は施錠されていた】。
青木くんがマスターキーで開けて中に入るも【茂野さんの部屋の中には誰もいなかった】。
さらに【茂野さんの部屋の窓は施錠されていた】。
つまり【茂野さんの部屋は青木くんが開錠するまで密室だった】。
茂野さんが見つからなかったので、彼らは今までの殺人は茂野さんの犯行であると結論付けた。
青木くん、難波くん、上野くん、鈴木さんはそれぞれの部屋に閉じこもることにした。
これまで青木くんは難波くん、上野くん、鈴木さんの誰かにほぼ常に姿を見られていたため青木くんにはアリバイがあった。
間違いなく【青木くんは犯人ではない】ので【マスターキーは青木くんが預かっておくことにした】。
数十分後このような状況になった。
【青木くんは青木くんの部屋で死んでいる】。
【難波くんは難波くんの部屋で死んでいる】。
【上野くんは上野くんの部屋で死んでいる】。
【鈴木さんは鈴木さんの部屋で死んでいる】。
【青木くんの部屋は密室である】。
【難波くんの部屋は密室である】。
【上野くんの部屋は密室である】。
【鈴木さんの部屋は密室である】。
【青木くんは殺人を犯していない】。
【難波くんは殺人を犯していない】。
【上野くんは殺人を犯していない】。
【鈴木さんは殺人を犯していない】。
【青木くんは自殺していない】。
【難波くんは自殺していない】。
【上野くんは自殺していない】。
【鈴木さんは自殺していない】。
さらに
【白石くんは食堂で死んでいる】。
【深田さんは食堂で死んでいる】。
【黒木さんは黒木さんの部屋で死んでいる】。
【ぐり子さんは食堂で死んでいる】。
【茂野さんはどこかで死んでいる】。
【館の中に生きている人間は誰もいない】。
誰がどのようにしてこのような惨劇を巻き起こしたのだろうか。
私はこれを「怪人ウボァくんが壁抜けをして彼らを皆殺しにした」と主張する。
事実:
黒木さんの部屋での殺人を「第一の殺人」。食堂での殺人を「第二の殺人」。青木くん、難波くん、上野くん、鈴木さんの殺人を「第三の殺人」と呼称する。
[共通・前提]
【「密室」とはマスターキーを使用するか、もしくは扉や錠、窓、壁、床、天井などを破壊しない限り外部から内部に侵入ができず、またありとあらゆる干渉が不可能である状態である】
【棒や糸などを用いた直接的干渉も、また電磁波などを使って内部の装置を作動させるなどの間接的干渉も認めない】
【全ての扉は部屋の内側から内鍵で施錠することが可能】
【外側からの施錠にはその部屋の鍵かマスターキーが必要】
【登場する人間は9人のみ】
【人間以外の生物は事件に関係しない】
【館に入った時点で9人は全員生存している】
【誰も館の外に生きて出ることは無かった】
【マスターキーは館のあらゆる扉を開錠、施錠できる】
【9人それぞれがそれぞれの部屋の扉の鍵を受け取った】
【鍵の複製は無い】
【9人はそれぞれ自分の部屋の鍵を常に持ち歩いていた】
【事件に登場する死体は全て明らかに死んでいるとわかる状態である】
【死んでいる人間を生きていると勘違いすることは有り得ない】
【食堂の扉には窓があり、外から中の様子が伺える】
【青木くんは犯人ではない】
【犯人とは殺人者を指す】
【難波くんは館に入ってから殺人を犯していない】
【上野くんは館に入ってから殺人を犯していない】
【鈴木さんは館に入ってから殺人を犯していない】
[第一の殺人]
【青木くん、難波くん、鈴木さんが扉を開き、黒木さんを視認した時点で彼女は既に死んでいて、彼らは黒木さんが死んでいると分かった】
【青木くんが扉を開けようとした時点で、黒木さんの部屋の扉は施錠されていた】
【黒木さんの部屋の窓は施錠されていた】
【黒木さんの部屋の扉の鍵は、黒木さんの部屋の中にあった】
【黒木さんの部屋は鈴木さんがマスターキーで開錠するまで密室であった】
【2人が2Fに上がるまで青木くんと難波くんに目撃されずに管理人室に入ることは不可能だった】
【誰も管理人室に入る人間を目撃していない】
【黒木さんはナイフを握っていた】
【黒木さんは他殺】
【難波くんがみんなを呼びに行った結果、9人全員が黒木さんの部屋に集合した】
【解散後には誰も黒木さんの部屋を出入りすることは出来ない】
【鈴木さんは黒木さんの部屋を開錠する以外にマスターキーを使っておらず、また使用後は管理人室にきちんと戻した】
[第二の殺人]
【青木くんがドアを開けようとした時点で食堂の扉は施錠されていた】
【食堂の扉の鍵は食堂の中にあった】
【食堂の窓は施錠されていた】
【青木くんが開錠するまで食堂は密室だった】
[茂野さんの失踪]
【青木くんが扉を開けようとした時点で茂野さんの部屋の扉は施錠されていた】
【4人が茂野さんの部屋の中に入った時点で部屋の中には誰もいなかった】
【茂野さんの部屋の窓は施錠されていた】
【茂野さんの部屋は青木くんが開錠するまで密室だった】
[第三の殺人]
【マスターキーは青木くんが持っていた】
[事件後]
【青木くんは青木くんの部屋で死んでいる】
【難波くんは難波くんの部屋で死んでいる】
【上野くんは上野くんの部屋で死んでいる】
【鈴木さんは鈴木さんの部屋で死んでいる】
【青木くんの部屋は密室である】
【難波くんの部屋は密室である】
【上野くんの部屋は密室である】
【鈴木さんの部屋は密室である】
【青木くんは殺人を犯していない】
【難波くんは殺人を犯していない】
【上野くんは殺人を犯していない】
【鈴木さんは殺人を犯していない】
【青木くんは自殺していない】
【難波くんは自殺していない】
【上野くんは自殺していない】
【鈴木さんは自殺していない】
【白石くんは食堂で死んでいる】
【深田さんは食堂で死んでいる】
【黒木さんは黒木さんの部屋で死んでいる】
【ぐり子さんは食堂で死んでいる】
【茂野さんはどこかで死んでいる】
【館の中に生きている人間は誰もいない】